2014年5月4日日曜日

CHANEL(5/4)


ヘイトで働く少し前、

ライブや舞台の衣装製作をしていた方に携わっていた事があり、

休日になると通っていたアトリエがありました。


私はほんの手伝い程度だったので、

ほぼデザイナーの方が一人で製作してましたが、

小さな古いマンションの一室なので、公演を目前に控えると、

どう並べても重ねる事も出来ず、

足の踏み場もないくらいギュウギュウになったり、

一本ウン万円のオーストリッチの羽根が

いくつにも重なり扇のように広げていたり…


扉一つ隔てると、そこには非現実的な世界が広がり、

手に取る人を浮かべてみては、なんとも言えない緊張感が走り、

普段は洋服とは全く関係のない仕事をしていた私にとって、

その時間が楽しみで楽しみで、仕方がありませんでした。


もちろん楽しいの一言では済まず、とてもシビアな世界。

限られた時間での衣装合わせで

ああでもない、こうでもないと言われては、

再びアトリエに持ち帰りやり直しをします。


ようやく本番で大勢の方が目にしてくれた衣装は

アトリエで見るものとはまるで別物。

映像、照明、音響、舞台セット…全てが完璧な中、

観客が見ている舞台上で、初めて成り立つものでした。


しかし本番も気を抜けず、

納得のいかない箇所があったりハプニングがあれば、

再び課題が生まれては出来る限りの手を尽くし、

その繰り返しでした。


アトリエでは必ずと言っていいほどDVDが流れていました。

よく流れていたのが、

現シャネルのディレクターのドキュメンタリー

『カールラガーフェルドのアトリエ』でした。


昨年もファッションを創る男-カールラガーフェルド-という

映画も公開されていますが、よくみていたのは8年前の作品のもの。

このドキュメンタリーの映画の中では、

ただひたすらシャネルのアトリエの様子が映し出されていますが、

カールの追求心には深く感銘を受けます。

カールのクリエーションには、妥協という言葉はありません。


映画を見ていると、まるでこのアトリエに居るかのように

思わず自分と重ねてしまっていました。


ココ・シャネルの映画はいくつか観ましたが、

カールラガーフェルドのドキュメンタリー映画が一番好きです。


ついつい見入ってしまう場面もあるのですが、

もちろんアトリエでしっかり見る時間もなかったので、

個人的にも見返しました。


モデルに着用させた瞬間に立ち会うカール。

カールがノーと言えばふりだしに戻る羽目に。


その緊迫した現場の空気から一転、

お針子さんたちは慣れたような様子で、

そそくさとそれぞれで課題を持ち帰り、

カールの要求に応える為に作業に入ります。


まもなくコレクションを控えていたとしても、

時間の許す限り追及されます。

かつての創設者、ガブリエル・ココ・シャネルがそうだったように。


"CHANEL"のコンセプトは

『古い価値観にとらわれない女性像』だそう。


シャネルのオートクチュールは、

最高級のクリエーションが惜しみなく注がれた、一級品。


お客様の手元に渡る時、

シャネルが一級品であることを実感出来るのは、

服に袖を通した瞬間から、ではなく、

ブティックに一歩足を踏み入れた時から始まります。


全てはシャネルのクリエーションを台無しにしない為。


最高級のお持て成しをする為に作られた舞台です。


そんな素晴らしいCHANELのジャケットが一つ、店頭に届きました。


ヴィンテージは一点もの。

もちろんこのブログをご覧の方は重々承知だと思いますが、

一期一会とはまさにこの事。

ツイードといいバイカラーといい、まさにシャネルらしい逸品。


確かな品の良さ、そしてコンディションの良さからは、

大切にされてきた事が伺えます。


袖口のボタンもシャネルのロゴ入り。


シルクの裏地にも小さなマークが散りばめられています。


こうした職人の息が感じられるようなものは、

いつの時代になっても廃れる事がないと思っています。

100年前のヴィクトリアンジャケットを手にした時と同じように、

心が揺さぶられます。


大きなファッションの時代の流れの中で、

古い価値観から殻を破って世の中の女性たちを引っ張り、

革命を起こしたメゾンと言っても過言ではありません。


またとない機会ですので、是非皆さんにご覧頂きたいと思います。


HAIGHT&ASHBURY